児童相談所案件(一時保護解除,児童福祉法28条審判など)


一時保護された子供を家に戻したい,施設入所に同意できない等のご相談をお受けします。

※全国各地から毎週多数のお問い合わせをいただいていますが,電話での個別具体的な相談には対応しておりませんあらかじめご了承ください。


児童相談所関連のご相談


(ご注意)以下は,分かりやすさ優先で書いています。用語は必ずしも正確ではありませんのでご注意ください。

 

1.一時保護解除等の手段

(1)法律上の不服申立手段

一時保護されたお子さんを家庭に取り戻す手段のうち,法律に根拠のある方法として次のものがあります。

※一時保護決定通知の下の方に細かい文字で書いてあることが多いです。

① 審査請求

一時保護を決定した児相の処分の取消を,県庁や市役所の所管部局に対して出る求める方法です。

 

② 取消訴訟

裁判所に対する訴訟手続になります。児相の行った一時保護決定取消を求める方法です。行政訴訟の類型です。

 

③ 一時保護(原則2か月)の延長審判

一時保護が長くなり2ヶ月を超えるが,親権者が延長に同意しない場合,児相は家庭裁判所に審判を申し立てます(児童福祉法第33条)。児相が申立人となり,親権者らは相手方となります。親権者らは家裁で言い分を伝えることができます。

【参照条文 児童福祉法第33条】※一部省略しています。

 第3項 一時保護の期間は,一時保護を開始した日から二月を超えてはならない。

 第4項 前項の規定にかかわらず,児童相談所長は,引き続き一時保護を行うことができる。

 第5項 前項の規定により引き続き一時保護を行うことが親権を行う者の意に反する場合においては、家庭裁判所の承認を得なければならない。

 

(2)法的手続きの限界

一時保護解除を法律上の手続きで争うことは,否定はしませんが,あまりお勧めできません。理由は次のとおりです。

 

まず,(1)①の審査請求や②の裁判は,いずれも時間がかかります。手続きが進む前に,児童が施設入所のステージに進んでしまいます。このため,かかる労力に対して効果が乏しい可能性が大きいです。

そもそも,①の審査請求は,中の人である行政が判断しますので,結論が変わることがほとんど期待できません。

ただし,事実誤認で一時保護された場合には,考えてもよいと思います。

結論として,事実誤認ケースを除き,一時保護決定通知書に記載の①または②の不服申立方法を選択することは,お勧めしません。

※国家賠償➡︎行政に対して,事後に損害賠償を求める制度です。国家賠償法に基づく手続きで,地方公共団体に対しても適用がありますり。ただ,あくまでも事後的に金銭的な補填を受けられるだけです。

 

次に,③の「33条審判」が認められるケースはごく例外的です。

児相は,一時保護を延長して調査が必要だから,あるいは,施設入所の準備のためしばらく一時保護が必要だから,家庭裁判所に延長を申し立てます。

その申立を審理する裁判所には,子供のことをよく知る調査官がいます。しかし,延長の審判は,即時に判断を求められるため,児童と面会するなど,十分な事実調査することはありません。児相の作成した書面が判断の資料となります。

行政が積極的に事実と異なった資料を作成することは,現在の日本ではほとんどないと見なされていますから,裁判所が「必要性がない」と判断することは,事実誤認が明らかなケース等を除き,ごくごく例外となります。

 

以上,結論として,一時保護そのものを法的に争うことは,効果的ではないと考えています。


なお,明石こどもセンターでは,第三者委員会の仕組みがあります。同センターは,スタッフの対応も親切ですから,手続きなどは教えてもらってください。

 

2.一時保護の次のステージで争う方法(家庭裁判所の28条審判)

(1)28条審判

10日以内で一時保護が解除される場合もあります。

1か月近く,または1か月を過ぎて子供が帰ってこない場合,施設入所になる可能性が高まってきます。

 

一時保護後,1か月近く過ぎると,児相の職員が施設入所への同意を打診することが多いようです。一時保護中の調査に基づき,施設入所がふさわしいと結論したうえでの打診です。なお,児相によって呼称が異なりますが,児童の処遇を組織決定する会議が,定期的または臨時的に開催させれているようです。

なお,一時保護直後の段階で施設入所しかありえないとの判断がされる場合もあります。

 

親権者が同意しないと,児童相談所は,いろんなことを言って同意を求めてくることがあります。

「同意すれば児童と面会できますが,同意しないなら,,,」などの話があるかもしれません。

この段階で,かえって反発する保護者,諦める保護者もおられます。

 

親権者が同意しない場合は,児童相談所は,家庭裁判所に対して,「親権者に代わる同意(承認)」を得るための審判を申し立てます(児童福祉法第28条)。その場合は,施設入所について家裁で争うことになります。

 【児童福祉法第28条1項1号の概要(一部省略等しています)】

 保護者が児童を虐待し,著しく監護を怠り,著しく児童の福祉を害する場合において,保護者の同意がないときは,都道府県(児相所長)は,家庭裁判所の承認を得て,児童を小規模住居型児童養育事業を行う者若しくは里親に委託し,又は乳児院,児童養護施設,障害児入所施設,児童心理治療施設若しくは児童自立支援施設に入所させることができる。

     

なお,児童相談所は,28条申立てと併せて,家庭裁判所に対して親権停止の審判を申し立てることがあります。

 

(2)審判手続

審判は,裁判とは異なりますが,調停のような「話し合い」とも異なります。

証拠の重要性など,どちらかというと,裁判に近いです。

児童相談所は,親や家庭から分離させて児童を施設入所させる必要性があることを,書面で裁判所に申し立てます。

児童との面談記録,親権者との面談記録,心理的調査,その他一時保護中に調査した結果等を,証拠資料として裁判所に提出します。

 

施設入所に同意しない親権者は,ご自分の言い分を家庭裁判所に対して説得的に主張していく必要があります。


なお,家庭裁判所の調査官が,児童と面会調査等を行う場合があります。

 

3.法的紛争になる前の解決が現実的

そもそも,行政機関である児相には,広範な裁量が認められています。

いたずらに争っても時間が過ぎるだけで,お子さんがいない状態が長期化します。


長期の一時保護や施設入所が不要なケースでも,何らかの問題が背景にある場合は,対応が必要です。その場合,児相の協力をえて問題解決することが必要ですし,解決の方法が容易なら,子どもを家庭復帰させることができるはずですし,そう考えるのが近道です。

 

また,親権者に何の非がない場合であっても,児童自身に,何らか対応が必要な場合もあります。児童に対して,医療機関その他の専門機関が関与する必要性があるケースもあります。


家庭環境や児童の特性に問題がある場合は,現実に目を向けて課題解決していかなくてはなりません。事実と正面から向き合うことは,どんな問題に対しても,解決のスタートラインと言えます。そして,課題解決のためには,児童相談所との継続的な協力関係の構築は,不可欠です。


 したがって,一時保護されたお子さんの家庭復帰を早期に実現するためには,仮に一定期間の施設入所がやむを得ないとしても,児童相談所と継続して関係性を保つのが望ましいことになります。


児相と話し合い,家庭復帰に問題がないこと,そのために親権者が努力すること,児童相談所の指導を受け入れること等を,児相の職員に理解してもらうことが重要です。

 

ただし,事実誤認がはなはだしく,間違った認識に基づいて施設入所しようとしている場合には,法的な対応が必要です。

このケースでは,他に選択の余地はありません。

 

4.児童相談所と,どう向き合うか(基本的な対応)

(1)一時保護直後の親権者

子供が一時保護された親権者の多くはパニックになり,何から手を付ければよいか分からない状況になりがちです。

一方の親権者が気付かない間に,他方親権者(配偶者)がお子さんを虐待していたケースでは,離婚の問題にまで発展することもあります。

全く解決の道筋が見えなくなることもあります。

 

(2)児相職員と親権者の関係

一言で言って,非常に忙しいです。

想像ですが,かなりの時間外勤務をしながら,仕事をしておられます。出張や面談をした後、デスクワークも膨大にあります。

忙しい中,次から次へと、新規案件に対応しなくてはなりません。

まずは子どもを落ち着かせ,じっくりと話を聞かなくてはなりません。

 

親権者から話を聞くのは後回しになりがちです。

話を聞いてくれたとしても,基本的に,親は「調査対象」です。

親権者が,「どうしたら,子どもを返してくれるのですか?」と尋ねても,明確なこと恵がすぐに帰ってくることはありません。

 

一時保護期間中,特に初期には子どもとの面会はできません。私見ですが,児相にとって,少なくとも一時保護の初期の段階では,親はノイズ(邪魔な雑音)でしかないように思われます。

 

親権者は,情報も入らず,児相からは疑いの目で見られ,何を話しても「現実を見ていない」「自己を正当化する」等と決めつけられるように感じることになります。

     

子育てに悩み児相に相談したことを契機に一時保護されるケースでは,児相に裏切られた気持ちになります。相談したがゆえに一時保護に至るケースもあるようです。

問題がある家庭で養育されている児童はたくさんいますが、行政が関与するケースはごく一部です。役所の常として,「知ってしまったら関与せざるを得ない」面があります。

 

(3)悪循環

一時保護後,児相に対する疑念が膨らみ,反感が強まり,児相職員との冷静な話が困難になっていくことがあります。

大きな声で職員に詰め寄ったり,頻繁に電話をかけてしまいます。

こうなると,物事が悪い方へ悪い方へと進みます。

児相職員から見れば,「自分を顧みることのできない親のいる家に,帰すわけにはいかない」となってしまうかもしれません。ケースワーカーらが作成する書類(報告書の類)にも,親権者のマイナス面が強調されるリスクが高まります。

 

(4)問題解決の筋道

児相の職員は,いたずらに親子を引き離そうと考えてはいません。できるなら,早期に家庭復帰させたいと考えているはずです。

児相職員は公務員であり,件数を上げれば給与が増えるわけでもありません。

件数を上げれば国からの補助金がどうの,などと考える職員は,現場にはいません。財政上の問題は,本庁の管理部門が気にすることで,現場の職員には関係のないことです。

ですから,まずは児相の職員の話に耳を傾け,内容をよく聞くことが大事です。

 

その中で,ふりかえって改善すべき点は改善し,子どもが家に帰ってくるための環境整備を行なってください。

※ただし,児相からは,「長期にわたる不適切な親子関係の改善」など,抽象的で具体的に何をどう改善すればよいのか分からない,かえって混乱する助言しか得られない場合があります。むしろ,その方が多いように見受けられます。

 

 5.弁護士の支援が効果的なケース

児童相談所は都道府県や市役所の地方機関の一つで,大きな組織ですから,人事ローテーションもあります。

職員にも様々な方がいます。民間企業と同じです。ほとんどの職員の方は熱心で親切ですし,公平・冷静ですが,コミュニケーション能力や事務処理能力にいささか問題がある職員がいるかもしれません。熱心さのあまり思い込みの強い方がいるかもしれません。

人間同士なので,性格が合わないこともあります。

 

また,組織はどうしても,いったん決まった方針を変えにくいものです。いったん審判の方向になると,話し合いの余地が非常に狭くなりがちです。

さらに,どんな組織にもありがちですが,担当ケースワーカーは常識的な職員であっても,上司に問題のある場合もあり得ます。

 

コミュニケーションがうまく取れないなど、悪い条件が重なると,児相と普通に話をすることすら,しんどくなってきます。

お子さんが急にいなくなって,冷静に対応すること自体が大変なのに,児相職員と円滑に話ができないと,疲れてしまいます。

 

このように,児相との冷静な話し合いが難しい場合は,弁護士の関与が役に立つ場合があります。

 

6.弊所の特色

行政経験が長い弁護士が直接担当しますので,見通しをある程度説明することができます。

安心してもらうことができますので,冷静に自分,子ども,家族を振り返る余裕が生まれ,児相と冷静に話をしやすくなります。

 

弁護士が入ったからすぐに子どもが戻ってくるわけではありません。

審判になった場合には,親権者が提出するよりは裁判官が理解しやすい主張書面を書くことができますが,書面の見栄えが良いから勝てるものでもありません。

 

弁護士が代理人となる一番のメリットは,児相と冷静に話をするきっかけができることです。

それは,お子さんが戻ってくる前提条件の一つだと思います。この点が,弁護士が入る一番のメリットであると考えています。

 

弁護士は,裁判をするだけではなく,様々な交渉をします。

損害賠償請求,債権回収などはもちろん,離婚事件や刑事事件の示談交渉なども,です。

弁護士が,児童相談所を相手方として行うことは,基本的にこうした交渉と同じです。お一人で進めるより効果的ですし,安心していただけます。

 

お子さんが突然いなくなった時,ほとんどすべての親は,圧倒的なショックを受けます。

その状態で,役所の組織である児童相談所と対等に話をすることは大変です。

 

大事なことなので繰り返しますが,弁護士が代理人になったからと言って,すぐにお子さんが帰ってくるとは限りません。

しかし,親権者がご自分達だけで対応するよりも,よい方向に向かうと考えています。

 

お困りでしたら,ぜひ弊所にお問い合わせください。

  

【ご注意】

児童相談所案件は,相談者の意向がお子さんの福祉にとって適切ではないと判断した場合は受任できません。例えば,虐待が明らかだが事実を認めない,暴力を正当化するようなケースです。

また,児童相談所からの指導を一切拒絶するなど,児童相談所と強く敵対するスタンを取られる場合もお受けできません。結果的に解決が遠のく可能性が高く,お役に立てないと考えるからです。ただし,全くの事実誤認のケースや,児相職員の対応に問題がある場合は除きます。

以上,あらかじめご了承ください。


費用

弊所は弁護士1名,事務スタッフ1名の小さな事務所ですので,比較的リーズナブルな費用で対応しております。

お困りの場合は分割も可。

項目 費用・内容説明
相談料

30分ごとに5,500円(税込)

※無料相談は行っておりません。また,原則として,電話相談には対応しておりません。あらかじめご了承ください。

着手金/成功報酬

1.経済的評価に馴染まない事件(例:児童の一時保護解除)
(1)着手金
❶交渉・不服審査・家庭裁判所の審判 200,000円~300,000円(税別)※標準は25万円+税
❷行政事件訴訟 350,000円(税別)~
※❶から引き続きの場合は,追加10万円~15万円(税別)。
(2)報酬金
❶交渉・不服審査・審判の場合,基本は着手金と同額(事件内容,事案の困難性に応じてご相談)
❷訴訟の場合も同じです。

2.経済的評価が可能な事件(例:学校事故での損害賠償請求)
経済的な利益の額に応じて,次の比率(税別)

※以下は一応の目安で,最大値です。ご遠慮なくご相談ください。
❶300万円以下の場合:
着手金 8% / 報酬 16%
※着手金の最低額は20万円(税別)です。
❷300万円超3,000万円以下の場合:
着手金 5%+9万円 / 報酬 10%+18万円(税別)
❸3,000万円超3億円以下の場合:
着手金 3%+69万円 / 報酬 6%+138万円(税別)

実費

交通費や切手代,裁判所に納める費用その他の実費は,ご負担をお願いしております。

遠方の児相への出張等では,交通費とは別に日当をお願いすることがあります。

受任の場合はあらかじめご説明して委任契約書に明記しますが,事前にお問い合わせいただければご説明します。

※ご注意 児童相談所案件は,相談者の意向がお子さんの福祉にとって適切ではないと判断できる場合は受任できません。あらかじめご了承ください。

 

無料電話相談には対応しておりませんので,ご了承ください。